マイマイ's Contemporary Art Blog

現代美術業界で働き、今はネット系スタートアップを始めています!主に現代アート、たまに映画や本、日々の事について、気軽に書くブログです。

Chiharu Shiota’s exhibition at Mori Art Museum

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I went to Chiharu Shiota’s solo exhibition at Mori Art Museum this weekend. It was the best show I ‘ve seen in a while. I didn’t know much about her works, but I became interested in them so much.

 

The exhibition shows her representative works, such as large installations, video archives of her performances, drawings, photographs etc.

 

Chiharu’s works are related to her memories, body and soul. As the show is subtitled “The Soul Trembles”, she really expressed her internal emotion this time.

 

I was especially impressed with “Uncertain Journey "(2016), which is a large installation that used red threads. The threads cover the whole room like a spider web. This describes the relationships between people. The black Ships on the floor symbolize the uncertain journey of our life.

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"Uncertain Journey "(2016)

According to her interview, when she was offered this exhibition 2years ago, she was about to get cancer treatment. She also experienced a miscarriage and a stillbirth. These experiences influenced her art.

 

She said she can’t stop creating works. I think her enthusiasm shows she is truly an artist.

チームラボ☆と子供の世界 @日本科学未来館

びっくりー!!な事に、前回のブログから約4ヶ月が経っていました、、、。

「書きたいテーマが見つからない」「見つかったけど、調べて準備からにしなきゃー」なんて言い訳してたら、、、あっという間です。

「書く曜日を決める事」、「テーマが、準備が、、、」等と云々言わず「とにかく書き始める!」等、習慣づけていかないとですね☆

という訳で、今日は思いつくままに、どんどん書いていきたいと思います。(こ、、、今度こそ、、、!継続するぞ!!)

 

今日は調度、以前から気になっていた「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」@日本科学未来館に行ってきました。とっても面白かったので、その事について書いてみます。

 

チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地

 

日本科学未来館、ご存知でしょうか?お台場の近くにあるのですが、今日はとーっても寒く風が強くて、、、人がいないのでは、と思いきや、中に入ると親子連れでいっぱい。

以前、駅のポスターで見かけた「トイレ? 行っトイレ!~ボクらのうんちと地球のみらい」 という、とってもキャッチーな展示をされていたのも、ここ、日本科学未来館だったんですね!とても前衛的な企画をされています。

 

今回、チームラボさんの展示に興味を持ったのは、もちろん前々から作品が好きでしたが、展示に向けた猪子さんのこの言葉に共感したからです。↓(当企画展・HPから引用)

 

(海外にて)当時、僕もびっくりしたことなのですが、週末になると、その美術館は子ども連れが非常に多くなります。親は、子どもに現代アートに触れてほしいという思いが強いのでしょう。そして、子どもが美術館の中で騒いでいるのです。そこの人々は、子どもが騒ぐことは当たり前だと思っているのでしょう、子どもは美術館でも騒いで良いのです。、、、(略)

そう、日本でも、子どもがアートに触れながら、同じ空間で、他の人々と、共同的で創造的な体験をしてもらいたい。

 

そう、前々から私が感じている事です。子供の時から、現代アートに触れて欲しい。

日本で現代アートがまだまだ馴染み薄いのは、やはり欧米の様に生活に浸透していないから、小さい頃から家の中や近所に『アート』が入り込んでいないからかな、と個人的に思っています。

  私が人生のうちに必ずやりたいと思っている事は、日本で子供達が小さい頃から一流のアートや、力強い現代アートに自然に触れる環境・仕組みづくりをしていく事です!

その為には、①『パブリックアート』といった、街中や公共の空間にアート作品を織り込ませていく事、から、②『教育』という観点で、小さい子達がクリエイティブな活動や発見が出来る仕組みづくりをしてみたり、大人向けに、日本ではなかなか触れられない”現代アート”の面白いレクチャーや講座を開いてみたり、、、という事をしたいと思っています。

具体的には、今のスタートアップ事業(ママ向け、アプリのサービスを始めています。)が軌道に乗ってきたら、都心の誰もがフラッと行きやすく、アート関連の施設が集っている場所(例えば、六本木とか)に、スペースを持ちたいです。

まずは美大・芸大の学生達や建築を学んでいる若手の方に、作品発表の場を与えられる様になり、広報・営業の活動を通じて、若く才能のある方達に対し、成長の手助けをしたい。その上で、小さい子達も遊びながら、アートに触れられる空間づくりを作っていきたい、と思っています。

 

そういう意味でも、今回のチームラボさんの真に「体験するアート」の企画は、とっても興味深かったのです。

 

そして、、、行ってみると、期待を上回る展示内容でした!!

チームラボさんの考える「超主観空間」は難しいのですが、その表現が視覚的にも素晴らしく、アート作品としての質が本当に高いと感じました。

「超主観空間」:江戸末期まで、昔の日本人は今とは違った空間認識をしていたのでは、という仮説に基づき、チームラボの名付けた空間の概念。

しばしば伝統的な日本美術は、西洋の遠近法が無かった為に平面的に描いていたと思われています。しかし、実は当時の人々は、世界が日本美術の空間の様に見えていて、だからその様に描いていたのでは無いか、という仮説。

つまり、昔の日本人は「日本美術を見て空間だと感じていたのでは」、それはある意味「西洋と違う論理が発達した空間認識だったのでは」、とチームラボさんは考えています。)

 

この「超主観空間」、は面白い概念だと思って、ただ、私はなぜ猪子さん達がこの様な概念を持つに至ったか、、、という所に興味がありました。

たまたま以前読んだ、『アートにとって価値とは何か』(著:三潴末雄(幻冬社))という、ミズマアートギャラリーのオーナーさんが書かれた本に、こんな一説がありました。

 

猪子がそのような発想に辿り着いた背景には、常人には想像しづらい特殊な事情がある(略)、、、、、、猪子は普通の人のように文字をうまく「読む」ことができない、だから国語や英語がほとんどできない。(P.222)

 

そうなんだ、猪子さん自身が、もしかすると、小さい頃から「空間認識」について、考えるを持つ機会が多かったのかもしれない。

数学的理解に超越した部分を持ちながら、「普通はこう、一般的にはこう、」と言われる事象に対して、疑問を持つ姿勢を、生きている中で自然と養っていったのかもしれない。

なんだかすごく、作品に対して腹落ちする様な部分もあり、もっともっと、チームラボに興味をそそられました☆

 

今日は、子供連れで言ったわけでは無いのですが、大人でも十分に楽しめました!技術力、高すぎです。

体験するアート。作品の解説はしませんが、ぜひぜひ、お時間を見つけて皆さん行ってみてください♪

 

あー、ブログ。本当は、先日「ブリヂストン美術館」で久しぶりに出会った

ピエール・スーラージュの作品について書きたいと思っていたのですが、、、それはまた今度!

 

最後まで、読んでくださってありがとうございます。

寒い日が続きますが、皆さまお体には気をつけてお過ごしくださいね☆

 

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世界の財団とアートコレクション

 

東京国立近代美術館で開催中の

現代アートのハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより』に、行ってきました。

http://sekainotakara.com

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Man Ray、Andy Warhol、Gerhard Richter、Francis Bacon、Maurizio Cattelan...と(羅列すると時代も作風もごちゃまぜですが)、かなり大物アーティスト達の作品が...! 

これだけの作品が一気に鑑賞できるだけでも、一見の価値ありです。

 

※ヤゲオ財団は、台湾大手の電子部品メーカー、ヤゲオ・コーポレーションのCEOピエール・チェンさん、その家族およびコーポレーションからの寄付金によって創立された非営利組織。

そのコレクションは今や世界トップ10に入ると言われており、西洋・東洋(特に中国)交えた美術作品を持っている事が、そのコレクションをユニークにしていると言われています。

本展覧会では、全体で約40作家、75点の作品が展示中。(展覧会HPより)

 

 

展示構成は、現代美術をあまり知らない来訪者向けにも

「”コレクターの所蔵作品”を展示する」という事を、わかりやすく解説していく仕組みになっています。

現実のアートの世界で起こっている事を絡めながら、丁寧に組み立てており

最初の解説で「寿司のネタ」を例に、アートの市場価値やそれを取り巻く環境について論じているのが上手で

個人的には面白い問いかけ文句だな〜と感じました。

 

本展では、現代美術の作品は「世界の宝」とし、

その理由を『市場価値』(オークションでは、実際数十億円単位の金額がつきます)、『美術史的な意味』の2点でまとめています。

 

日本では、今まであまりコレクターとのコネクションが無かったり、採算性の問題から

この様な財団コレクションの展示はあまりできなかったとの事。

コレクションだけで、”美術史の連続性を表現することに挑む”なんて、改めて、相当な作品群ですね!!!

 

 

世界でアートのコレクションを持つ財団(有名なのは、カルティエ、日本だとポーラ・サントリー等の企業)と、そのコレクション規模・一覧・特徴がわかる記事等NET上で探したのですが、見つからず...。(いつか調べてみたい♪

 

日本では、企業の社長や役員が

アート作品を巧みにビジネスの会話に利用したり、オフィスに展示して楽しんだり...といった文化が、あまり根付いていませんが、例えば損保ジャパンがゴッホの「ひまわり」(約58億で落札したと言われており、その落札額に対して賛否両論はある)で、外国人クライアントの心をぐっと掴む様に

日本にも、アートとビジネスが、もっと根深く結びついていく文化ができていくと、嬉しいな。

 

しかしこれも、財団を持てる程に成長させた企業・ビジネスが無ければ成り立たなかった事。

恐れ多いですが、いつかそれ程までに成長できる様、ビジネスもを頑張らないと、と思いました。

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美術のキュレーションと、情報のキュレーション

 

最近、Webの「キュレーションメディア」が流行っていますね。

Gunosy」、「NewsPicks」、「NAVERまとめ」…

その他にも、食やインテリア、女性向けに特化したメディア等もあり、その市場は今

2014年には178億6000万、といわれる程に伸びているらしいです。(引用:Internet watch

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http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20140704_656589.html

 

正直、美術業界に関わった者としては

NAVERまとめも「キュレーター」とかっこよく称しているけど

ただまとめているだけ!だし、題名だけキャッチーで中身がくだらない記事も多いし、宣伝の要素も強いし

これを「キュレーション」と呼んで欲しくないなー、というのが、最初の感想でした。

 

2011年に佐々木俊尚さんの、『キュレーションの時代「つながり」の情報革命が始まる』が巷で噂になった時も、IT業界で何が起こるのかあまりピンと来ていませんでした。

 

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)

 

 

今ではすっかり、キュレーションメディアから配信されるニュースを

楽しみに読んでいます... 笑

 

 

私が「キュレーション」という言葉、「キュレーター」という職種を知ったのは

8-9年前、美術業界で働きたいな~と漠然と考えていた頃。

”美術館”という空間に縛られずに、インディペンドで展覧会を企画したり、プロジェクトを担うのってどういう人達なのかなぁ、と調べていたら

「キュレーター」と呼ばれる、れっきとした職業があるのを知りました。

 

私が留学をした、ロンドンのGoldsmiths大学にもMFA in Curating(修士:キュレーションコース)というのがあり、世界中から将来の美術界・大物キュレーターを目指す若手が集まってきます。(ちなみに私は、Goldsmiths大学ではDiplomaコース、Contemporary Art Historyを修得しました。)

Royal College of Art、というロンドンにあるアートの名門校では

キュレーションコースを受講する為には、年間数百万(イギリス人以外)も支払い、修士2年目はほぼ自力で論文やプロジェクトをこなすという内容であるからにも関わらず、大変人気があります。

 

美術業界で「キュレーター」になる、という事は、美術史や作品の知識から、展示の企画、執筆、空間の構成、資金調達保存やアーティストとの交流まで、幅広く、知力共に手腕の問われる職に就く事です。

Goldsmithsのキュレーティングコースを卒業した友達は、大体母国へ返って、自分でプロジェクトを立ち上げています。

ビジネスのMBAと同じく「勉強して、で、何ができるの?」と問われる世界で

専門知識のみならず、総合的なプロデュース力までが必要とされる

高度な専門職だと思っています。

 

美術のキュレーションは、「物」と人間、空間との関わり合いや

音、におい、緊張感といった人間の五感に訴える3次元の世界まで組み立てるのに対し、

情報のキュレーションは、大量の情報を一定の基準で交通整理し

”集約による時間の短縮”、”他者との共有”、という現代のニーズを満たす

全く新しいものになっている気がしています。

http://www.flickr.com/photos/11005463@N02/6121266286

photo by mamnaimie

 

現に、矢野経済研究所では、キュレーションサービスを下記の様に定義している様です。

「キュレーションサービスとは、目的や意図を持って情報収集して、そこから不要なものを切り捨てて、人々の関心・興味を新たに喚起する形式で、情報を集約化し他者と共有するサービスをさす。」
http://www.yano.co.jp/press/press.php/001264

 

もちろん、美術業界でも誰でも「キュレーター」を名乗れます。

ただ、ある意味、誰もが色んな切り口で「キュレーター」を名乗る様になった今...

やはりその中でも、「意義のある文脈をきちんと造りだせる」ものが

長く支持され、残っていくのかな、と何となく思っています。