マイマイ's Contemporary Art Blog

現代美術業界で働き、今はネット系スタートアップを始めています!主に現代アート、たまに映画や本、日々の事について、気軽に書くブログです。

川内理香子さん@SHISEIDO GALLERY

2015年、あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い致します☆

 

1月、お誕生日月でまた1つ歳も取りました。

年始は川崎大師で「開運満足」の祈願もして参りました。今年は、飛躍の年になる予感、、、?!

とある占いによると、、、2015年のテーマは「思ったよりも、うまくいく!」だそう☆楽観的に、ポジティブ志向でいたいと思います。

 

銀座8丁目のSHISEIDO GALLERYで開催中の、shiseido art eggに寄るコトが出来ました。

展覧会案内|SHISEIDO GALLERY|資生堂

 

展示中の川内理香子さんの作品、ちょっと面白かったです。

「食」をテーマにした絵画を作成、という事だったのですが

最初に作品を見て、まず「ああ、この方は食べるコトが好き、という訳ではないのだろうな〜」と感じました。

ドローイングという一種、本人の”素”が一番出るシンプルな描写方法で、お寿司、シュークリームやグレープフルーツ、といった「食べ物」を次々と描かれています。

どこか日本の"漫画風"なタッチで、ものすごーく客観的に、そう、食べ物を人間と完全に切り離した「異物」として描いています。おぞましい顔をした人間が、時には、ホットケーキのバターとして溶けていたり、レーズンパンの肝心なレーズンが人の顔だったり!!

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「食べ物」は、中学校の美術の時間に、必ず一度は果物を模写する様に、、、アートに関わる人が必ず通る道、、、ですよね。

「食べる西洋美術史」(著:宮下規久朗)という本がありますが、「食」を西洋美術史の文脈に乗せると、「コミュニケーションの手段」や「宗教的な意味合い」が含まれてきます。


Amazon.co.jp: 食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む (光文社新書): 宮下 規久朗: 本

 

現代作家の、川内さんの描いた作品群を見て、まず改めて思い知らされた事は

本当に私たちは、いろ〜んな食べ物を毎日食べているってコトでした。

今までの人生で、どんだけの物を食べてきたのだろう?シュークリームは何個食べて来たんだろう?!なんて、それを全部連ねて考えると、ものすごい量の「異物」が身体に入って、出て行っているわけですよね。

 

「衣食住」という様に、「食べる事」は人間にとって必要不可欠、いや、むしろ3大欲求に入る生理的な行動なのですが、一旦そこから客観的になってしまうと

「生きる為に食べる」という行為から「食べる事で生かされている」状態に、離脱していきます。

 

川内さんの作品で、私が面白いと思ったポイントは

彼女のインタビュー記事等を読んでも、やはり食べる事を「億劫」、と感じ「異物」が入っていると感じるそうで、その感覚を「描く」という行為で消化している所です。先程の、西洋美術でいう「食」と全く違った流れでになっていますよね。

 

実はこれ、現代に生きるからこそ、の描かれ方なのかな、と。

もし戦争時代で食べる物もなく、毎日飢えた状態だとしたら、こんな風にきっと思わないですよね。江戸・縄文、、、と時代を遡っていくと、食べ物の種類やアレンジもどんどん限られていきます。

多種多様な食べ物に溢れ、贅沢に彩られた食べ物という「作品達」に塗れた現代だからこそ、こんな風に感じるのかな。

毎日毎日、食べる物、取る行動や思考で形作られていく身体。口に入った物が、食道を流れて胃に入って、、、栄養分が取られた後に腸から押し出されて、、、

キレイに彩られたケーキや油っぽいカツ丼やら、、、一つ一つの成分が身体の中に入っていくコトを考えるとなんだか奇妙な行為ですよね。

 

そういった、生理的な観点を率直にドローイングにしていく事で、アーティスト自身が食べ物を「消化」する行為を自然と行っている事に、とても興味を持ちました。

 

まだ多摩美の学生という川内さん。これからをぜひ、期待しています♡

 

http://www.flickr.com/photos/24257141@N05/4844276372

photo by PetitPlat - Stephanie Kilgast